地魚と山野草&カニ料理 丹後半島・浜詰海岸温泉 本陣粋月

丹後半島・浜詰海岸温泉 ほんじんすいげつ

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粋月流おもてなし

山野草料理イメージ

●四季を通して『旬の山野草料理』を楽しめる宿

「あるお客様の後宿談」より 抜粋

『う~む?(こんなん初めて!)』
本陣粋月の看板「山野草料理」との出会いは、その場の空気さえ変えた。
大皿の上に「まるで小花」のように置かれた小皿に、数々の「食べた経験の無いもの」が所狭しと盛られているのだ。そんな未知との遭遇に、戸惑いと緊張が全身を駆け巡る。

しかし一方で、
『けれんみのない色合いは、綺麗やな~。』

女将に促され、困惑のままお箸をのばす。
『うまい』
と思うと同時に、だけど
『これは何?』
初めてこの料理を口にしたときの「正直な感想」だ。
けっして優しいとはいえない食感や天然のほのかな苦味の中に、自然の旨味やわずかな甘みを感じる。自然の風味を活かしつつ、過剰に取り繕うところがない。ちょっと昔に味わった懐かしさが甦る。そんなノスタルジックな気持ちになり、自然と心も落ち着きを取り戻す。
それでも、この食材は分からない。

『ウワバミソウですよ。』空気を察したかのように、傍の女将が教えてくれた。恥ずかしながら、その名を聞いてもその正体を想像できない。
『もう考えるのは止そう。』
それまで高負荷で稼動していた頭脳回路のモーターが、静かに回転速度を落とし始めた。気がつけば、普段早喰いの私がゆっくりと何度も噛み締めている。ひと口ごとに「身体に優しい」を実感する。
『だんだん、楽しくなってきた!』
しかも、お酒の肴にも最適だ。

美味しい料理をいただくと、その場の雰囲気も明るくなっていく。普段口数の少ない同伴者が、やたら女将と楽しそうにしゃべっている。
『ここにして、良かった。』
その間にも、私の目の前には次から次へと新たな料理が並べられていく。「山野草料理」だけでも充分お腹一杯なのに、美味しそうな「お造りの盛り合わせ」や、いい香りの「お魚の煮物や焼き物」、揚げたての「天ぷら」が次から次へと。
『こんな量、誰が食べるん?』 同意を求めるため「ふっ」と顔を上げると、同伴者はまた女将としゃべりながら、それでも次々とお皿を空けている。
私は負けじとばかり、膨れかけたお腹を揺すりながら新たなお皿にお箸を伸ばしていた・・・。

●女将自ら山へ入り、季節の山野草を摘む

一日中穏やかな天候に恵まれることが少ない北近畿の日本海沿岸、 特に冬場には大雪や吹雪の日も少なくない。
そんな環境も何処吹く風、「本陣粋月」の女将は日中「ほとんどと言っていいぐらい」宿にはいない。
山野草を探す女将山に入り、崖を下り藪に分け入り、沢を飛び越え、時にはせせらぎの中で、嬉々として山野草を摘んでいるのだ。
『自然は、刻一刻変化してるのよ。今日しか収穫できないものがあるの。』
いつもの女将の口癖。

あなたはご存知ですか?
ヤブカンゾウ・ギシギシ・アマドコロ・ギボウシ・ツルナ・イグチ・・・。
女将が、日々コツコツと摘んでくる山野草たち。一見しただけでは、ただの草にしか見えないものが、食材となる。
しかし、1ヶ所での収穫はごく少量。
『自然の生態系を壊さないように』との配慮のためだ。

●自らの闘病が導いた「食と生の大切さ」

何を隠そう、女将は約10年前ガンに侵された。手術を繰り返しながらの長い闘病期間に考えたのが、「食べることの大切さ」。
『人工的に栽培されたものに頼らず、自然の力を取り込むような食生活がしたい。宿の食事も変えなければ。』そんな女将を後押ししてくれたのが、本編後半にも登場する「西途謹吾さん」。
『じゃ、山を手本にすればいい。365日、山に入って山菜や野草中心の料理を作ればいい。応援するから。』って。

自らの闘病が導いた「食と生の大切さ」山に入って分かった。『山にはエネルギーが満ち溢れているの。
森林や植物、またそこに暮らす動物たち、その空気にさえ、すべてに原始的な生命力っていうのかしら、尊厳さを感じることができるの。
だから疲れているときほど、山に入りたくなるのよ。』
現代社会に疲れて、精神的にも参っている人も多いと聞く。
そんな人にこそ、『一緒に山に入ってエネルギーを感じてほしいの。私も随分、助けてもらっているから。』女将の本音だ。

●自然の摂理に育まれる美味しいお米や野菜

西途謹吾さん

西途謹吾さん

本陣粋月でお出しするお米や野菜は、大将や女将が惚れ込んだ契約農家で栽培・収穫されたモノが中心です。
お米は、「丹後産 コシヒカリ」。このブランド米は、西日本で唯一3年連続「特A※1」を獲得した地元の美味しいお米です。
しかも、常時最善のご飯を食べていただくために、大将は精米機までも購入。お米の状態やその時々の気候またお客様に応じて精米度まで調整しています。
また、精米時の「ヌカ」は畑に撒いたり、「ヌカ床」にしてお漬物を作ったり。
『無駄な物など、一切無い』これが本陣粋月のスタンダードです。
野菜は、有機野菜が中心。その契約農家のひとりが、兵庫県豊岡市で20年以上にわたり「無農薬・無肥料・無除草剤」農法に取り組む、西途謹吾さん。
女将とは、『キンちゃん』『ワカちゃん』と呼び合う仲で、息もぴったり。

※1「特A」:財)日本穀物検定協会が実施している専門パネラーによる食味ランキング。最高位が「特に良好」な「特A」。 平成21年度は全国125産地品種で実施され、西日本では3産地品種が認定された。

西途 謹吾〔Saito Kingo〕さん
美味しい野菜を味わってもらうために、西途流バーク堆肥農法で作る。

『見栄えの良さばかりにとらわれ、手間を省くために農薬を使用する現代農業。人間にとって都合の悪いものはすべて排除してしまい、味も栄養価も乏しいものに。 今の野菜は化学肥料と農薬付けで、土壌も悪くなり人間に安全なものがなくなってきた。一般の作物は栄養のないものばかり・・・。』
20年以上前、農薬と肥料、除草剤で土壌を悪くしているのに気がつき、植物の持っている力を引き出すことを考えた。
自然を見習い、自然の恵みだけで育てることを始めた。

手本もなく自分で少しづつ積み重ね、たどりついたのがバーク堆肥(たいひ)農法。
バーク堆肥とは、樹木の皮の部分(バーク)を1年以上発酵させて作った土壌改良材。
土中の保肥性・保水性・通気性が高まり農産物の育成に良いとされている。
また、土壌微生物のバランス改善にも繋がり連鎖障害等の発生を抑制する効果もあるとされている。

長年様々な試行錯誤を重ねた結果、 『畑は一切耕さない。水もやらない。虫も殺さない。草も抜かない。そんなことはする必要がない。山を見れば分かるはず。下手に植林なんてした山は問題外。自然の山に学ばないと。』 山から学んだ結果がバーク堆肥農法だという。
バーク堆肥農法で野菜を育てる西途謹吾さんの畑

バーク堆肥農法で野菜を育てる西途謹吾さんの畑

樹皮を時間をかけて発酵させバーク堆肥に。1反あたり最低5トンは必要。

樹皮を時間をかけて発酵させバーク堆肥に。1反(1,000㎡)あたり最低5トンは必要。

収穫したばかりのズッキーニ『一概にバーク堆肥農法というけど、その土地その土地で土壌や環境が違う。
このままのやり方を他所でやっても、おそらく無理。ようやく、此処に適してきた。』 と語りながら収穫したばかりのズッキーニを手渡してくれる。
そのまま頬張り「美味しい」との感嘆に、『それが、本来の味!』自信がなせる業だ。

畑の感触を手で確認する以前女将が話していた、『春に行くと、キンちゃんの畑だけモンシロチョウがいっぱい飛んでいるの、周りとは違って。蝶にも分かるんやろうね~。』
蝶に分かって人間には分からないはずがない。

女将からのメッセージ

ここまでお読みくださり、本当にありがとうございます。

ご覧頂いた様に、私ども「本陣粋月」は、いわゆる豪華な設備に囲まれて、大量に作られた既製品の料理等を提供する旅館とは、異なる考え方に基づいて運営しております。

基本スタンスは、
『 自然を感じる(知る)、守る、活かす、共生する。
“旅のお宿”として旅人との心の触れ合いを大切にする。 』
事です。

そのため、今 主流の旅館のような「最新の設備も、贅沢な設備もありません」し、
「仰々しい接客も、スマートな接客もできません」。
だからと言って「低料金で目を引く」ような宿泊プランも致しておりません。 それは、いずれも“旅のお宿”として必要な条件と考えていないからです。

穏やかな日差しに恵まれる日もあれば、強風に曝される日や大雪に見舞われる日もあり、また、美しい夕日に感動できる日もあれば、大きな波の音や寒風に、時には雷鳴に遭遇する日もあります。
それもこれも「丹後」です。私どもは、是非ともこの「丹後」を遠くから来られるお客様に体感して頂きたいと思っています。

日本列島を人の身体に例えると、丹後は「おへそ」(北海道を頭に見立てたら、日本海側に人が前屈みになっている様に見えませんか?)。 海があり、山があり、川があり、湖もある。北と南の生態系が混在する日本の中心なのです(植物の生態系が一番多い地域です)。

ここは、原風景が残っているとして原生林の保存が推進される等、開発が制限されてきた地域です(国立公園の中にお宿もあります)。そんなことも関係するのでしょうか、京都府下でありながら交通アクセスがとっても不便です。

私は、すべてが関係すると考えています。『今、目の前で起こっている現象は、過去の事柄が関連して、また未来に影響を及ぼす。』だから、 『今だけを考えたらダメ。』これ以上、自然の摂理を破壊してはいけない。山を放置したままでは、農薬だらけの農産物では、化学肥料で飼育された産物では、添加物で見た目や味や賞味期限が付加された食品ではいけない。

当館でお出しする「お料理の素材」はできるだけ市販されている既製のモノを避けて、出所の把握できるモノ、安全なモノを用いています。 その最たる例が、当館の看板料理「山野草料理の食材」です。市販されているものは一切ありません。
全て、私が山へ分け入り、沢に降り、そして浜辺を歩いて採取した、本当に自生している山野草です。それを、手間暇かけて下処理し、さらに調理してお出ししています。

『もちろん、採取できる場所で、生態系を壊さない程度の量です。』
『自然との共生』。口で言うほど生易しいものではないことは、解っているつもりです。解ったうえで、行動を起こしています。 まだまだ人数は少ないものの、顕ちゃん、謹吾さん、尚ちゃん、裕子ちゃん、小石原さん、木津のおばちゃん、木村くん、行待くん・・・、理解者や協力者の和が膨らんでいます。

また、お料理を通して共鳴してくださるお客様も増えています。その方々との語らいの時間が、私にとって最も楽しい時間で、かつ 『エネルギーの源泉』です。
そして中には、『私も、山に入りたい 』『山野草のことを、もっと知りたい』と言ってくれる人が出てきました。今、このような嬉しい声を受け入れる体制作りにも取り組んでいます。

それらのことを考えていると、最新・豪華な設備への投資が最優先だとは感じられません。仰々しいサービスやスマートなサービスでは無く、 『ゆっくりと また の~んびりと していただける 家庭的な雰囲気、心と心の関わりを大切にしたい』と考えています。
私をはじめ、この宿に携わる者すべてが、 『お客さんを、家族の一員』と思い接しています。
だからというわけではありませんが、この宿での標準語は『丹後弁』です。 畏まった言葉遣いが苦手なこともありますが、素のままのお付き合いを大事にしたいと思っているからです。

しかし一方で、お客様にとって足りない部分も多い宿かもしれません。 その際は、『是非、遠慮言ってください。』 出来得ることは、前向きに対応します。(設備関係は無理かも。あっ、お部屋に冷蔵庫はありません。それに、先日もリクエストがあった「靴下」や「コスメアメニティ」などもありません。)

こんな変わったお宿ですが、「丹後の自然や季節感を探し」に、「女将を中心とした田舎の人との心の触れ合い」に、また「山野草料理をはじめとした、大将の料理」を楽しみに、『本陣粋月』にお越しください。

『この世の中に、無駄なものなどひとつもない。あなたも、私も。』

女将

本陣粋月 女将 安達和佳子

小さい自然の雑木林を再現

今日本に残っている里山は、杉・檜などを植樹された人工林が多くなっていたり、手入れされずにほったらかしにされていたりし、非常に荒れてきています。
また、道を作って山を分断したり、山の保水能力が弱くなっていたりしています。そして、山の法面(斜面)に外来の草を植えられたりし、そこから、日本産の小さな草花が追いやられて数が非常に少なくなってきています。
植物は単体で生きているわけではなく、様々な種類の生物が重なり合って生きています。日本に昔からある雑木林はどうあるべきか?今、この村でさえも、日本古来そのままの自然を身近で感じにくくなってきています。
そのため、日本古来の雑木林を皆様に体感してもらえるように、本陣粋月では8年前ぐらいから少しずつ小さい雑木林の再現に取り組んでいます。女将が山に入った時に、自然に生えている日本の希少な草木の種や株を取り、地道に少しずつ雑木林を再現しています。
少しずつではありますが、日本古来の植物で多様性のある小さな小さな雑木林ができましたので、是非一度見に来て下さい。日々の植物の成長を身近に感じることができます。
また、山野草がお好きな方には、時期によってはお分けできる植物があるかもしれませんので、お気軽にお問い合わせ下さい。
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